夜間頻尿について。泌尿器科専門医が解説

夜間頻尿に悩まされている方は多いですが、なかなか解決策を見つけられないという方も少なくありません。特に夜中に何度もトイレに起きると、睡眠の質が低下し、睡眠不足につながります。
翌日の大事な会議や運転中に眠くてたまらないという事も。命に関わる問題にもなりかねません。この記事では、中目黒ブロッサムクリニックの泌尿器科専門医が、夜間頻尿の原因や予防方法、治療法について詳しく解説します。健康的な睡眠を取り戻すための参考にしてみてください。
夜間頻尿とは?

そもそも頻尿とは、通常よりも頻繁に尿意を感じる状態を指します。日本泌尿器科学会による定義としては成人では、1日に8回以上トイレに行く場合が頻尿とされます。ただ、もちろん、たくさん飲めばその分トイレも近くなるので、8回以上=頻尿=治療が必要だ!というわけではありません。
また、国際禁制学会によれば、夜間頻尿とは“夜間就寝中に1回以上排尿に起きる”状態と定義されています。夜間に1回以上トイレに起きる場合は、定義上は「夜間頻尿」と呼ばれ、睡眠の質に悪影響を及ぼすことがあります。ただ、こちらも、上記と同じく、飲み会などで夜までたくさん水分をとっていた日の睡眠中に起きたからといってすぐに夜間頻尿となるわけではありません。むしろ正常な反応です。
頻尿は癌に代表される悪性疾患ではないので、あくまで“頻尿”が日常生活に支障をきたしているか(=仕事や社交活動にも影響を及ぼしているか)という事がポイントになります。そしてその場合には医学的な介入が推奨されます。
夜間頻尿の原因
夜間頻尿の原因は多岐にわたります。以下に代表的な原因をいくつか挙げてみましょう。
- 過活動膀胱: 膀胱のセンサーが過度に敏感になってしまっている状態です。少量の尿しか溜まっていないにも関わらず、尿意を感じてしまいます。いわゆる畜尿(尿をためること)障害といわれている状態
- 前立腺肥大: 男性特有の疾患です。男性の尿道は前立腺の中を通る構造をしていますが、年齢と共に前立腺が肥大し、尿道が圧迫されることで、頻尿や尿が出にくい症状が現れることがあります。また、肥大した前立腺が膀胱頚部(膀胱から尿道への出口付近)を物理的に圧迫することで尿意を感じたり、膀胱内に尿が残ってしまうことが頻尿の原因となる場合もあります。男性の中高年層でよく見られる疾患です。
- 肥満:文字通り腹部に脂肪が多くついている状態です。横になった時にその脂肪が重りとなり膀胱が膨らむのを邪魔します。
- 睡眠時無呼吸症候群:眠っている間はリラックスの神経である「副交感神経」が優位となっており尿意を感じにくい為、膀胱にたくさん尿を溜めることができますが、睡眠時無呼吸症候群では無呼吸状態によって血液中の酸素濃度が低下し、血圧や心拍数の上昇を招くことで交感神経が優位となるため、膀胱が収縮しやすく、尿意を感じやすい状態になります。
- 糖尿病: 高血糖により尿量が増加し、夜間頻尿を引き起こすことがあります。
- 心不全・腎不全: 心不全や腎不全による体液の貯留が、夜間に尿量を増やすことがあります。
- 生活習慣・薬物: コーヒーやアルコールの摂取が影響を与えることがあります。また投薬治療(利尿剤やCa拮抗薬)によっても頻尿となることがあります。
予防方法
上記のとおり原因はさまざまなので、その原因に対処していくことが大切ですが、夜間頻尿の予防に、生活習慣の見直しが有効な場合は少なくありません。以下の方法も検討してみましょう。
- カフェインやアルコールの摂取を控える: 特に夕方以降の摂取を避けることで、夜間の尿量を減少させることができます。
- 睡眠環境の改善: 快適な寝室環境を整え、良質な睡眠を確保しましょう。より深い眠りでリラックス状態を作り出すことは有効な対処法です。
- 水分摂取のタイミングを見直す: 寝る前に過剰な水分摂取を避け、尿の量を抑えます。
- 定期的な運動: 適度な運動は膀胱の健康を保つのに役立ちます。また肥満や生活習慣病に対する運動アプローチの有効性はいわずもがなです。
治療方法
中目黒ブロッサムクリニックでは、夜間頻尿の治療に対して原因に即した多角的なアプローチを行っています。おおきくわけると治療方法としては以下のようになります。
- 薬物療法: 尿の量を調節するための薬物を処方する場合があります。特に前立腺肥大や糖尿病に関連する場合には、適切な薬剤の使用が効果的です。逆に薬剤が原因と疑われる場合には、疑わしい薬を一時的に休薬します。
- 生活習慣の指導: 患者様に合わせた生活習慣の改善方法を提案し、実践をサポートします。
- 専門的な検査: 泌尿器科専門医による詳細な検査を行い、原因を特定し、最適な治療計画を立てます。睡眠時無呼吸症候群の場合にはCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の利用が効果的です。検査にて疑わしい場合には、CPAPの利用を推奨します。
- 手術療法: 重度のケースでは、手術が検討されることもありますが、まずは非侵襲的な治療から試みることが多いです。
まとめ
夜間頻尿は、睡眠の質に大きな影響を与える可能性がありますが、適切な予防と治療によって改善が期待できます。中目黒ブロッサムクリニックでは、専門的な診断と治療を通じて、患者様の健康的な生活をサポートしています。夜間頻尿でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。快適な睡眠と健康的な生活を取り戻すために、一緒に取り組んでいきましょう。

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