多汗症とは?汗っかきは治療できるのか|日常生活に潜む“汗”の悩みと向き合う

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多汗症とは?汗っかきは治療できるのか

「人よりも汗が多い気がする」「夏だけでなく冬でも汗が止まらない」——そんなお悩みを抱えている方は意外と多くいらっしゃいます。特に近年は、リモートワークやマスク着用といった生活環境の変化によって、汗の不快感が日常的に意識されるようになりました。中でも「多汗症(たかんしょう)」という疾患は、医学的な治療が必要となるケースもあり、単なる“汗っかき”とは異なる病態です。

社会的背景や最近の傾向

多汗症は性別・年齢を問わず起こりうる疾患であり、特に思春期や更年期などホルモンバランスの変化が関与する時期に顕著に見られます。にもかかわらず、「体質だから仕方ない」「病気ではない」と誤解されやすく、適切な治療が行われていないケースも少なくありません。

放置によるリスク

多汗症を放置すると、単に「汗をかきすぎて不快」というだけにとどまらず、以下のような生活上の支障が生じることがあります。

  • 対人関係のストレス:握手や近距離での会話を避けてしまい、社会的な孤立感に繋がることも。
  • 皮膚トラブルの増加:汗による蒸れが原因で、あせもや皮膚炎、感染症を引き起こす場合があります。
  • 仕事や学業への支障:書類が濡れる、キーボードが使いにくいなど、業務パフォーマンスにも影響が出ることがあります。

つまり、多汗症は“QOL(生活の質)”を大きく損なう疾患といえます。

自覚しにくい初期症状

多汗症は、発汗が多いことで初めて気づかれることがほとんどですが、初期段階では以下のような傾向に注意が必要です。

  • 特定の部位(手のひら、足の裏、脇、顔など)だけ異常に汗をかく
  • 緊張していない場面でも汗が噴き出す
  • 気温が低くても汗が止まらない
  • 市販の制汗剤では全く効果を感じない

こうした症状が日常的に続く場合は、医療機関での相談が望ましいでしょう。

予防と早期受診の必要性

多汗症は原因に応じて分類され、「原発性多汗症(原因が特定できないもの)」と「続発性多汗症(何らかの疾患によって引き起こされるもの)」に分けられます。甲状腺機能亢進症や糖尿病などの内分泌疾患が背景にある場合もあり、単なる汗の問題では済まされないケースもあるため注意が必要です。
早期に医師の診察を受けることで、以下のような治療オプションが選択できます:

  • 外用薬:軽症例に有効で、発汗を物理的に抑制します。
  • 内服薬(抗コリン薬など):神経伝達を調整し、全身の発汗を抑える効果があります。
  • ボツリヌス療法:特に腋窩(わき)の多汗症に有効で、保険適用可能な治療法です。
  • イオントフォレーシス:手足の多汗に対して、微弱な電流を使って汗腺の働きを抑えます。
  • 手術療法:重度の多汗症では、交感神経遮断術(ETS)などの外科的治療も検討されます。

発汗の程度や部位、患者様の生活背景に応じて、最適な治療法を選択することが重要です。

当院での検査・対応

中目黒ブロッサムクリニックでは、多汗症に関する診察・相談を随時受け付けております。診察では以下のようなステップで進めていきます。

  • 問診と視診による評価:発汗の程度やタイミング、生活への影響などを丁寧にお伺いします。
  • 必要に応じた血液検査:内分泌疾患など、他の病気の可能性を鑑別します。
  • 生活指導・薬物治療の提案:症状と希望に応じて段階的な治療を行います。

また、当院では保険適用のボツリヌス療法や外用薬処方も行っており、安心してご相談いただけます。

まとめ・相談のすすめ

汗に関する悩みは、目に見える症状であるだけに、心身のストレスとして無視できないものです。「体質だと思ってあきらめていた」という方も、医療機関での相談によって、快適な日常を取り戻せる可能性があります。
中目黒ブロッサムクリニックでは、患者様一人ひとりの症状と生活背景に合わせた、丁寧な診療を心がけています。汗のお悩みが気になる方は、お気軽にご相談ください。

  • 多汗症は「ただの汗っかき」とは異なり、医療的介入が必要な疾患である
  • 放置すると皮膚トラブルや対人関係のストレスにつながる可能性がある
  • 原因は不明なもの(原発性)と病気に起因するもの(続発性)に分類される
  • さまざまな治療法があり、症状や部位に応じた対応が可能
  • 当院では保険適用の治療も含め、多汗症の診断・治療を行っている