男性もHPVワクチンを接種したほうがいい?

「HPVワクチンは女性のもの」と思っていませんか?
HPVワクチンと聞くと、「子宮頸がんの予防」「女性が接種するワクチン」というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際、これまでの啓発は女性を中心に行われてきました。
一方で近年、男性もHPVに感染し、さまざまな疾患を発症することが広く知られるようになり、男性におけるHPVワクチン接種の意義が注目されています。
「自分には関係ないのでは?」
「症状がないのに打つ意味はあるの?」
こうした疑問に対して、本記事では男性の立場から、HPVワクチンの必要性と予防効果について、できるだけわかりやすく整理していきます。
目黒区など一部の地域では年齢条件を満たせば男性もHPVワクチンの補助が出る場合があります。ぜひお住まい地域の保健所HP等もご参照いただければと思います。
HPVとはどのようなウイルスか
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、主に性行為を通じて感染するウイルスで、100種類以上の型が存在します。感染自体は珍しいものではなく、多くの人が生涯に一度は感染するといわれています。
多くの場合、感染しても自然に排除され、症状が出ないまま経過します。しかし一部では、感染が持続することで病変を引き起こすことがあります。この「気づかれにくさ」が、HPVの特徴であり、予防の重要性につながります。
男性がHPVに感染すると起こりうる疾患
男性においてHPV感染が関与すると考えられている疾患はいくつかあります。代表的なものを整理します。
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尖圭コンジローマ
性器や肛門周囲にイボ状の病変が生じる性感染症です。自覚症状が乏しいことも多く、再発しやすい特徴があります。
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中咽頭がんなど一部のがん
喉の奥(中咽頭)に発生するがんの一部は、HPV感染との関連が指摘されています。初期症状が分かりにくい点が特徴です。
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パートナーへの感染
自覚症状がないまま感染している場合、知らないうちにパートナーへ感染を広げてしまう可能性があります
これらは必ず発症するものではありませんが、「症状がない=安心」ではないという点が重要です。
HPVワクチンで何が予防できるのか
HPVワクチンは、特定のHPV型に対する免疫をつくり、新たな感染を予防することを目的としています。現在使用されているワクチンは、尖圭コンジローマの原因となる型や、がんとの関連が強い型を対象としています。
ここで押さえておきたいのは、HPVワクチンは「治療」ではないという点です。すでに感染しているHPVを排除したり、できている病変を治したりする効果はありません。
一方で、まだ感染していない型に対しては予防効果が期待できるため、将来のリスクを下げる目的で接種を検討する意味があります。
性交経験があっても接種する意味はある?
「すでに性交経験があるから、もう遅いのでは」と質問されることがあります。結論としては、性交経験があっても接種を検討する意義は残ります。
HPVは複数の型があり、すべてに感染しているケースは多くありません。そのため、未感染の型に対する予防という観点では、一定の意味があります。ただし、効果の程度は個々の状況によって異なるため、過度な期待は避ける必要があります。
男性がHPVワクチンを接種する意義
男性がHPVワクチンを接種する意義は、単に病気を防ぐことだけではありません。自分自身の健康管理に加え、パートナーや将来の家族への配慮という側面もあります。
また、感染や再発への不安は、心理的なストレスにつながることもあります。予防について正しく理解し、選択肢を知っておくこと自体が、安心材料になるケースも少なくありません。
当院での考え方と情報提供
当院では、HPVワクチンについて「誰にでも一律にすすめるもの」とは考えていません。年齢、既往歴、生活背景などを踏まえたうえで、得られる可能性のある効果と限界を丁寧に説明することを重視しています。
接種を迷っている段階でも構いません。「自分の場合はどうなのか」を整理するための相談として、気軽にご利用ください。
正しい知識が予防への第一歩です
HPVは非常に身近なウイルスであり、男性にとっても無関係ではありません。HPVワクチンは万能ではありませんが、将来の感染リスクを下げるための予防手段のひとつです。
大切なのは、正確な情報をもとに、自分にとって必要かどうかを判断することです。
重要ポイントまとめ
- HPVは男性にも感染しうる身近なウイルス
- 尖圭コンジローマや一部のがんとの関連が指摘されている
- HPVワクチンは治療ではなく予防が目的
- 性交経験があっても接種を検討する意味はある
- 効果には限界があり、過度な期待は禁物
- 迷ったら泌尿器科で相談することが大切


