尿の勢いが弱くなったら?男性に多い原因と前立腺肥大症のサイン

「以前より尿の勢いが弱くなった」「尿が出始めるまで時間がかかる」「排尿してもすっきりしない」。
このような変化を、年齢のせいだと思ってそのままにしていないでしょうか。
男性の場合、尿の勢いが弱くなる原因の一つとしてよくみられるのが前立腺肥大症です。前立腺が大きくなったり、前立腺周囲の筋肉が緊張したりすることで尿道が圧迫され、尿が出にくくなることがあります。
ただし、「尿の勢いが弱い=前立腺肥大症」とは限りません。尿道の狭窄、膀胱機能の低下、感染症など、別の原因によって同じような症状が現れることもあります。
この記事では、尿の勢いが弱くなる原因や前立腺肥大症でみられやすい症状、泌尿器科で行う検査、受診を考えたいタイミングについて解説します。
「尿の勢いが弱い」「尿が出にくい」とはどのような状態?
排尿の変化は徐々に進むことが多いため、自分では気づきにくい場合があります。
たとえば、次のような変化がないか確認してみてください。
尿の勢いが以前より弱くなった
以前は勢いよく出ていた尿が、細く弱い尿線になってきた状態です。
便器まで十分な勢いで届かない、排尿に以前より時間がかかる、といった変化として気づくこともあります。
尿が出始めるまで時間がかかる
トイレに入って排尿しようとしても、すぐには尿が出ず、しばらく待たなければならない状態です。
排尿するためにお腹へ力を入れるようになる人もいます。
尿が途中で途切れる
排尿中に尿の流れが一度止まり、再び出始めることがあります。
「一度でスムーズに排尿できなくなった」と感じる場合も、排尿障害の一つとして考えます。
排尿後も尿が残っている感じがする
排尿を終えたにもかかわらず、まだ膀胱の中に尿が残っているように感じる症状を「残尿感」といいます。
実際に尿が残っている場合もあれば、残尿量が多くなくても残尿感を覚えることがあります。
こうした症状はまとめて下部尿路症状と呼ばれ、前立腺肥大症をはじめとするさまざまな泌尿器疾患でみられます。
男性で多い原因の一つが「前立腺肥大症」
前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲んでいます。
加齢とともに前立腺が大きくなる男性は少なくありません。
前立腺が大きくなること自体を「前立腺肥大」といいますが、前立腺の肥大などによって排尿に関する症状が現れた状態が前立腺肥大症です。
前立腺の内側には尿道が通っています。そのため、前立腺によって尿道が圧迫されたり、前立腺や膀胱の出口付近の筋肉の緊張が強くなったりすると、尿が通りにくくなります。
その結果、
- 尿の勢いが弱い
- 尿が出にくい
- 排尿開始まで時間がかかる
- 尿が途中で途切れる
- 排尿時に力を入れる必要がある
- 残尿感がある
といった症状が現れることがあります。
前立腺肥大症では「頻尿」も起こることがあります
前立腺肥大症というと「尿が出にくくなる病気」というイメージがあるかもしれません。
しかし、症状はそれだけではありません。
トイレが近くなる
昼間に何度もトイレへ行く「頻尿」がみられることがあります。
尿を十分に出し切れず膀胱に尿が残っている場合、次に尿がたまるまでの時間が短くなり、トイレの回数が増えることがあります。
夜中に何度もトイレへ起きる
夜間の排尿回数が増える「夜間頻尿」もよく相談される症状です。
ただし、夜間頻尿には前立腺肥大症だけでなく、水分摂取量、睡眠障害、心臓や腎臓の病気など複数の原因があります。
急に強い尿意を感じる
突然強い尿意が起こり、我慢するのが難しくなることもあります。
前立腺肥大症と過活動膀胱が併存している場合もあるため、尿の出にくさだけでなく、頻尿や尿意切迫感についても医師へ伝えることが重要です。
尿の勢いが弱くても、原因は前立腺肥大症だけではありません
「最近、尿の勢いが弱い」と感じても、前立腺肥大症だけで原因を決めることはできません。
尿道狭窄
尿の通り道である尿道が狭くなることで、尿が細くなったり、出にくくなったりする病気です。
過去の尿道の炎症、外傷、医療処置などが関係することがあります。
膀胱の収縮力の低下
排尿するときには、膀胱の筋肉が収縮して尿を押し出します。
この働きが低下すると、尿道そのものが狭くなくても、尿の勢いが弱くなったり、残尿が増えたりすることがあります。
尿路感染症や前立腺炎
炎症によって排尿しにくくなることがあります。
排尿時の痛み、発熱、頻尿などを伴う場合には、感染症や前立腺炎なども考える必要があります。
前立腺がんなどの病気
排尿症状だけで前立腺肥大症と前立腺がんを区別することはできません。
前立腺がんは初期には症状がないことも多いため、年齢やPSA値なども踏まえて評価します。
尿の勢いが弱いという症状だけで自己判断するのではなく、原因を確認することが重要です。
泌尿器科ではどのようなことを調べる?
尿が出にくい場合、症状の種類や程度、年齢、経過などを確認しながら原因を調べます。
中目黒ブロッサムクリニックでは、症状に応じて以下のような診察・検査を行います。
問診・症状の評価
「尿が出にくい」という一つの症状だけでなく、
- 尿の勢い
- 排尿回数
- 夜間の排尿回数
- 残尿感
- 尿意の強さ
- 排尿途中で尿が途切れるか
- 排尿時に力を入れているか
などを確認します。
前立腺肥大症では、IPSS(国際前立腺症状スコア)という質問票を用いて症状の程度を評価することがあります。
尿検査
尿路感染症や血尿などがないかを確認します。
排尿症状がある場合でも、原因が必ずしも前立腺にあるとは限らないため、尿の状態を確認することは重要です。
超音波検査
腹部から超音波を当て、前立腺や膀胱などの状態を確認します。
前立腺の大きさの評価だけでなく、排尿後に膀胱内へどの程度尿が残っているかを調べる残尿測定も行うことができます。
症状の強さと前立腺の大きさが必ずしも一致するとは限らないため、症状と検査結果を合わせて判断します。
PSA検査
必要に応じて、血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を測定します。
PSAは前立腺がんの評価に用いられる重要な指標ですが、前立腺肥大症や前立腺炎などでも上昇することがあります。
PSAが高いという結果だけで前立腺がんと診断されるわけではなく、必要に応じてさらに詳しい検査を検討します。
前立腺肥大症と診断されたら必ず治療が必要?
前立腺が大きいというだけで、すべての人が薬を飲まなければならないわけではありません。
治療を行うかどうかは、
- 症状の強さ
- 日常生活への影響
- 残尿量
- 前立腺の状態
- 尿閉などの合併症の有無
などを踏まえて判断します。
症状が軽く、生活への影響が少ない場合には、経過をみることもあります。
一方、症状によって生活に支障が出ている場合などには薬物療法が検討されます。
薬には、前立腺や尿道周囲の筋肉の緊張を和らげて尿を出しやすくするものや、前立腺を縮小させる方向に作用するものなどがあり、症状や前立腺の状態に応じて選択されます。
薬物療法で十分な改善が得られない場合や、合併症がある場合には手術などが検討されることもあります。当院で対応が難しい検査・治療が必要な場合には、適切な医療機関へご紹介します。
「まだ出ているから大丈夫」とは限りません
尿の勢いが弱くなっても、すぐに尿がまったく出なくなるわけではありません。
そのため、
- 「年齢のせいだろう」
- 「まだ尿は出ているから問題ない」
- 「トイレの時間が長くなっただけ」
と考えて受診せずに過ごしている方もいます。
しかし、症状が徐々に進行すると、膀胱に多くの尿が残るようになったり、場合によっては尿を自力で出せない「尿閉」を起こしたりすることがあります。
排尿の変化は、症状が強くなる前に一度原因を確認しておくことが大切です。
すぐに受診を考えたい症状
次のような症状がある場合には、単なる「尿の勢いの低下」と考えず、早めの医療機関受診が必要です。
- 尿意があるのに尿がまったく出ない
- 下腹部が強く張って痛む
- 発熱や悪寒を伴う
- 目で見て分かる血尿がある
- 強い排尿痛がある
- 急激に排尿状態が悪化した
特に、尿がまったく出ず、下腹部が張って強く痛む場合には急性尿閉の可能性があります。放置せず医療機関を受診してください。
尿の勢いの変化は泌尿器科で相談できます
尿の勢いが弱くなったり、尿が出にくくなったりする症状は、中高年男性にみられる前立腺肥大症の代表的な症状の一つです。
一方で、前立腺肥大症以外にも同じような症状を起こす病気があります。
「昔より尿の勢いが弱い」
「排尿に時間がかかるようになった」
「夜中に何度もトイレへ行く」
「排尿してもすっきりしない」
といった変化が続いている場合には、一度泌尿器科で原因を確認してみるとよいでしょう。
中目黒ブロッサムクリニックでは、問診、尿検査、超音波検査、残尿測定、必要に応じたPSA検査などを行い、排尿症状の原因を評価します。
尿の出方は毎日のことだからこそ、徐々に変化すると気づきにくいものです。以前との違いを感じたことが、受診を考える一つのきっかけになります。
重要ポイントまとめ
- 尿の勢いが弱くなる原因の一つとして、男性では前立腺肥大症がみられます。
- 尿の勢いの低下、排尿開始までの時間、尿の途切れ、残尿感などは下部尿路症状としてみられます。
- 前立腺肥大症では、尿の出にくさだけでなく、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感がみられることもあります。
- 尿道狭窄、膀胱の収縮力の低下、尿路感染症や前立腺炎、前立腺がんなどでも同じような症状が現れることがあります。
- 泌尿器科では、問診、尿検査、超音波検査、残尿測定、必要に応じたPSA検査などを行い、原因を評価します。
- 前立腺肥大症の治療は、症状の強さ、日常生活への影響、残尿量、前立腺の状態、合併症の有無などを踏まえて判断します。
- 尿がまったく出ない、下腹部が強く張って痛む、発熱や悪寒、目で見て分かる血尿、強い排尿痛、急激な排尿状態の悪化がある場合には、早めの医療機関受診が必要です。


