家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ

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高血圧症の管理では、診察室で測る血圧だけでなく、自宅で測る「家庭血圧」が重要です。診察室では緊張して血圧が高くなることもあれば、反対に診察室では問題がなくても、家庭や日常生活の中では血圧が高いこともあります。

家庭血圧は、毎日の生活の中での血圧の傾向を知るための大切な情報です。厚生労働省の情報でも、家庭血圧は高血圧の治療を考えるうえで重要な情報とされています。また、家庭血圧での高血圧の基準は、診察室血圧より低く設定されています。

この記事では、家庭血圧を測る時間、姿勢、記録方法、受診時の活用方法について解説します。

家庭血圧はなぜ高血圧管理で重要なのか

血圧は、同じ人でも時間帯、姿勢、緊張、運動、食事、飲酒、睡眠、体調などによって変動します。そのため、1回だけの測定値で血圧の状態を判断するのではなく、一定の条件で継続して測定し、全体の傾向を見ることが大切です。

家庭血圧が重要な理由のひとつは、診察室血圧だけではわかりにくい血圧のタイプを確認できることです。たとえば、診察室では血圧が高いものの家庭では高くない状態は「白衣高血圧」と呼ばれます。一方で、診察室では血圧が高くないのに家庭では高い状態は「仮面高血圧」と呼ばれ、家庭血圧を測定しなければ気づきにくいことがあります。

家庭血圧は、診察室だけでは見えにくい日常の血圧を確認するための重要な記録です。 特に、健診で血圧が高めと言われた方、高血圧症で治療中の方、薬の効果や生活習慣の影響を確認したい方にとって、家庭血圧の記録は診療時の大切な判断材料になります。

家庭血圧を測るタイミング

家庭血圧は、できるだけ毎日同じ条件で測ることが大切です。測る時間や直前の行動がばらばらになると、数値の比較がしにくくなります。

日本高血圧学会の家庭血圧測定に関する資料では、家庭血圧は朝と晩に測定し、朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、夜は就寝直前に測ること、1機会に原則2回測定して平均を取ることなどが示されています。

朝の測定は起床後1時間以内が目安

朝の家庭血圧は、起床後1時間以内を目安に測定します。排尿を済ませ、朝食や服薬の前に、椅子に座って1〜2分ほど安静にしてから測定します。

朝は血圧が上がりやすい時間帯であり、服薬中の方では薬を飲む前の血圧を確認する意味もあります。ただし、薬の飲み方を自己判断で変更することは避けてください。家庭血圧の記録をもとに、医師が必要に応じて治療方針を検討します。

夜の測定は就寝前が目安

夜の家庭血圧は、就寝前に測定します。入浴直後、飲酒直後、運動直後などは血圧が変動しやすいため、少し時間をおいて、落ち着いた状態で測ることが望ましいです。

朝と夜の両方を測ることで、1日の中での血圧の傾向を把握しやすくなります。毎日完璧に測ろうとして負担になる場合は、まずは測定を習慣化することを優先し、継続できる方法を医師と相談するとよいでしょう。

正しい姿勢と測定環境

家庭血圧は、測り方によって数値が変わることがあります。正確に近い値を得るためには、測定時の姿勢と環境を整えることが大切です。

測定時には、次の点を意識してください。

  • 背もたれのある椅子に座り、1〜2分安静にしてから測定します。測定中は会話をせず、できるだけリラックスした状態を保ちます。
  • 足は組まず、床につけます。足を組む、前かがみになる、腕に力を入れるなどの姿勢は避けます。
  • 血圧計は、二の腕に巻く上腕式が推奨されています。カフは素肌または薄手の衣服の上から適切に巻き、腕の高さは心臓の高さに合わせます。
  • 測定直前の喫煙、飲酒、カフェイン摂取、運動は避ける方が望ましいです。直前の行動で血圧が変動することがあります。

厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトでも、家庭で血圧を測る際は、朝は起床後1時間以内、夜は寝る前、上腕式血圧計、座位、測定前1〜2分の安静、原則2回測定して平均を取ることが紹介されています。

重要なのは、「毎回できるだけ同じ条件で測ること」です。 条件がそろっていれば、日々の数値を比較しやすくなります。

測定値はどう記録すればよいか

家庭血圧は、測るだけでなく、記録して初めて診療に活用しやすくなります。記録が残っていないと、どの時間帯に高いのか、どのくらいの期間続いているのか、薬や生活習慣との関係があるのかを判断しにくくなります。

記録する項目は、できるだけシンプルでかまいません。継続できる形式にすることが重要です。

  • 測定日

    いつ測ったかを確認するために記録します。

  • 測定時間

    朝・夜の区別がわかるようにします。

  • 収縮期血圧

    いわゆる「上の血圧」です。

  • 拡張期血圧

    いわゆる「下の血圧」です。

  • 脈拍

    血圧計で表示される場合は一緒に記録します。

  • メモ

    体調不良、睡眠不足、飲酒、服薬忘れ、強いストレスなどがあれば簡単に書きます。

1回の測定機会で2回測った場合は、2回分の数値をそのまま記録してもよいですし、平均値も併記すると診察時に見やすくなります。ただし、都合のよい数値だけを選んで記録することは避けてください。

高い値も低い値も含めて記録することで、実際の血圧の傾向がわかりやすくなります。

受診時に家庭血圧の記録をどう活用するか

受診時には、家庭血圧の記録を医師に見せることで、診察室血圧だけではわからない情報を共有できます。特に、朝だけ高い、夜に高い、薬を飲む前に高い、仕事がある日に高いなどの傾向が見えることがあります。

診察時には、次のような情報があると相談しやすくなります。

  • 直近1〜2週間程度の家庭血圧の記録
  • 朝と夜の測定値の違い
  • 高い値が出た日や時間帯
  • 服薬状況
  • 生活習慣の変化
  • 体調不良や症状の有無

厚生労働省の重症高血圧に関する資料でも、医療機関を受診する際には、症状の内容、服用している医薬品、家庭血圧の変化の情報を伝えることが重要とされています。

記録を見せる際は、紙の血圧手帳でも、スマートフォンのアプリでも、ノートでも問題ありません。大切なのは、医師が経過を確認できる形で残っていることです。

医療機関に相談した方がよい目安

家庭血圧で高い値が出た場合でも、1回の測定だけで慌てる必要はありません。測定直前の行動、緊張、睡眠不足、飲酒、カフェイン、運動などで一時的に上がることもあります。まずは落ち着いて、測定条件を確認し、必要に応じて再測定します。

一方で、次のような場合は医療機関への相談を検討してください。

  • 家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合。家庭血圧では、診察室血圧より低い基準が用いられます。厚生労働省の情報でも、家庭血圧では135/85mmHg以上が高血圧の目安として示されています。
  • すでに高血圧症で治療中だが、家庭血圧が以前より高くなっている場合。薬の効果、服薬状況、生活習慣、他の薬剤の影響などを確認する必要があります。
  • 血圧が非常に高い状態が続く場合。特に180/120mmHg以上など著しく高い血圧が続く場合は、症状の有無にかかわらず早めに医療機関へ相談してください。
  • 強い頭痛、胸や背中の痛み、息苦しさ、意識の異常、片側の手足の動かしにくさ、ろれつが回らない、目が見えにくいなどの症状を伴う場合。このような症状がある場合は、救急車の要請も含め、速やかな受診が必要になることがあります。

血圧の数値だけで自己判断せず、症状の有無や測定条件、継続期間を含めて医師に相談することが大切です。

中目黒ブロッサムクリニックでの相談について

中目黒ブロッサムクリニックでは、内科領域の症状や生活習慣病に関するご相談に対応しています。高血圧症についても、家庭血圧の記録、健診結果、服薬状況、生活習慣などを確認しながら、必要に応じて診察や検査、治療方針を検討します。

家庭血圧の記録をお持ちの場合は、受診時にご持参ください。紙の血圧手帳、スマートフォンの記録、写真、メモなど、確認できる形であれば診療時の参考になります。

なお、具体的な検査内容、薬の調整、治療方針は、年齢、基礎疾患、腎機能、心血管疾患の既往、現在の服薬状況などによって異なります。自己判断で薬を中止したり、増量したりせず、医師にご相談ください。

よくある質問

Q1. 家庭血圧は毎日測らないと意味がありませんか?

毎日測定できると血圧の傾向を把握しやすくなります。ただし、負担が大きすぎると継続が難しくなります。日本高血圧学会の資料では、週5日以上測定した結果を主治医に見せることが示されています。まずは継続できる方法を作ることが大切です。

Q2. 1回目と2回目の血圧が違う場合はどちらを記録すればよいですか?

原則として、1機会に2回測定し、その平均を取ります。ただし、2回分の数値をそのまま記録しておくと、診察時に経過を確認しやすい場合もあります。都合のよい数値だけを選ばず、測定した値を正直に残すことが重要です。

Q3. 手首式の血圧計でもよいですか?

家庭用血圧計にはさまざまな種類がありますが、一般的には上腕式血圧計が推奨されています。手首式は使いやすい一方、測定位置や姿勢の影響を受けやすいことがあります。すでに手首式を使っている場合は、測り方が適切か、診察時に相談するとよいでしょう。

Q4. 家庭血圧が少し高いだけでも受診した方がよいですか?

1回だけ高い値が出た場合は、測定条件を確認し、落ち着いて再測定してください。一方で、家庭血圧で135/85mmHg以上が継続する場合や、健診で高血圧を指摘されている場合は、医療機関で相談する目安になります。特に、糖尿病、腎疾患、心臓病、脳血管疾患の既往がある方は、早めに相談してください。

重要ポイントまとめ

  • 家庭血圧は、高血圧症の管理において重要な情報です。
  • 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前を目安に測定します。
  • 夜は就寝前に、落ち着いた状態で測定します。
  • 測定前は1〜2分安静にし、座った姿勢で、上腕式血圧計を使うことが推奨されます。
  • 測定値は、日付、時間、上の血圧、下の血圧、脈拍、体調メモとともに記録すると受診時に役立ちます。
  • 家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は、医療機関への相談を検討してください。
  • 胸痛、息苦しさ、意識の異常、片側の手足の動かしにくさなどを伴う場合は、速やかな受診が必要になることがあります。
  • 家庭血圧は、数値だけで判断するのではなく、継続的な記録として医師に相談することが重要です。
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